演出家紹介~後藤彩乃
さて、間にお題を挟みましたが、座組の最後の一人、演出家の後藤彩乃さんの自己紹介です。
お初にお目にかかる方も、そうでない方もこんにちは。
演出家の後藤彩乃と申します。
後藤彩乃とは…? お初にお目にかかる方にも、そうでない方にも、ご紹介させていただきます。
ちょっとだけ。ちょっとだけです。
普段は演劇集団円という集団に所属して演劇に関わる仕事をしております。
ある時は演出助手、またある時は舞台監督助手、そして稀に演出家。
茨城県の高校を卒業し、都内某所の演劇系の専門学校に入学いたしました。
専門学校は2年制でした。その間いろいろなことがあり…演出家志望に転向。
そんなこんなで円演劇研究所に演出部として入所。
現在は1年制になっている研究所ですが、私の通っていた頃は2年制でございました。
1年目は本科、2年目は専攻科。
本科の前半期は役者志望の同期たちと一緒に芝居を作ったりしておりましたが、後半期には先輩である専攻科の芝居の裏方に入ったり、円の本公演の裏方に入ったりと怒涛のような半年間でございました。
今でも覚えています。初めての本公演のお手伝いは、小道具製作と映像のオペレーター! 右も左もわからないまま操作室で孤独な戦いをいたしました…。
そんな孤独なひとりきりの操作室での心霊体験も(理由は申し上げるまでもなく)忘れられない思い出でございます。
怒涛のような本科時代は矢の如く過ぎ去り、無事専攻科にあげていただきました。
専攻科になってからは同期の演習の補佐や、演出助手をしながら演出家としての考え方、佇まい…たくさんのことを吸収しながら過ごします。
その年の夏に、自主公演を企画。企画者は今回も出演の牧野希世であります。
後藤、はじめての演出をいたしました。 作品は、岸田國士作「留守」「ヂアロオグ・プランタニエ」。
難しかったです。難しくも明快な奥深い会話劇と申しますか…岸田先生はすごい。
それ以来私は、会話劇が好きなんだわ! と自覚いたしました。
そして時は過ぎ、現在に至ります。
ついこの間、所属しております演劇集団円の本公演演出デビューを果たしました。
初日まで演出家としてハラハラしていましたが、初日にお客様が見てくださってはじめて芝居っていうのは完成するものなのだと痛感。
今回の公演はお客様との距離がものすっごく近いということもコンセプトのひとつと(勝手に)考えておりますので、役者の息ひとつにも何かが込められればいいな、なんて思っております。
その分、役者陣は尋常でない緊張感でしょうけれども…。
…自己紹介のつもりで書き始めたはずが、外れてしまいました。
百聞は一見に如かず、と申します。芝居をご覧になるついでに、会場に必ずいる演出家 後藤もチラッとご覧くださいませ。
以上、かなり丁寧に書いていただきました。
初めてのお仕事で心霊現象…。
よい劇場には必ず小屋付きの霊がいる、なんて逸話があるほど、舞台演劇に関わる人間の間ではよく聞く話です。
今回の会場は、正岡子規の亡くなったその場所(部屋の名前は「病間」、普段は「子規終焉の間」と掲示が出ております)なので、もし子規の霊がいるならご笑覧いただきたいものです…。